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学環学生が行く!地域未来共創学環教員インタビュー 【第19回 瀬尾 匡輝 先生】

今回は、学生広報アンバサダーのろっくんはーちゃんのんたんの3人で瀬尾先生へインタビューを行ってきました!

ろっくんはーちゃんのんたん
 本日はよろしくお願いいたします!

ろっくん:
 まず初めに、先生の研究内容について教えてください。

瀬尾先生:
 私の専門は批判的応用言語学です。「批判的」と聞くと何か否定的なイメージを持つかもしれませんが、「当たり前を問い直す」という意味です。例えば、なぜ私たちは外国語を学ぶのか、教育は誰のためにあるのか、学ぶ機会はすべての人に平等に与えられているのか、といった問いについて考えます。私は日本語教育を中心に、海外研修や国際交流、オンライン教育などを通して、言葉を学ぶことが人や社会にどのような影響を与えるのかを研究しています。

ろっくん:
 本を読ませていただいた際に、言語の「商品化」というビジネス的な話もありましたが、そちらも先生の批判的応用言語学に含まれているのでしょうか?

瀬尾先生:
 読んでいただいたんですね! ありがとうございます!
 はい、それも批判的応用言語学の重要なテーマの一つです。言語の商品化とは、言葉がコミュニケーションの手段であるだけでなく、就職や昇進、ビジネスなどに役立つ価値あるスキルとして捉えられることを指します。例えば、英語や日本語ができることで仕事の選択肢が広がったり、海外の人たちと協働できたりするのはその一例です。
 ただ、私は、言語の商品化そのものを否定しているわけではありません。実際には、言語が経済的な価値を持つことで、その言語を学ぶ動機が高まったり、個人の可能性を広げたり、キャリア形成に役立ったりすることは事実です。しかし、批判的応用言語学では、「言語を経済的な価値だけで捉えてよいのだろうか」という問いを立てます。例えば、「就職に役立つから学ぶ」という考え方が強くなりすぎると、言語を学ぶことで異なる文化や価値観を理解したり、新しい人々とつながったりすることの大切さが見えにくくなるかもしれません。だから私は、言語がもつ経済的な価値を認めながらも、それだけでは捉えきれない教育的・社会的な価値にも目を向けることが大切だと考えています。そうした多面的な視点から言語教育を考えることが、批判的応用言語学の面白さだと思っています。
(詳しくは「ケースで考える! 誰も教えてくれない日本語教育の現場 第10章」 を参照)

のんた
 この研究テーマを選んだ理由などはあるのですか?

瀬尾先生:
 研究のきっかけは、ハワイ大学で英語教育を学んでいたときに出会った、批判的応用言語学者の久保田竜子先生の論文かな…。当時の私は、「アメリカのやり方が一番だ」と考えるような自文化中心的な考え方に違和感を持っていました。しかし、久保田先生の論文を読んだときに、自分自身も別の形で同じことをしているのではないかと考えるようになったんです。
 大学院生だった頃、私は夏休みになると日本語のイマージョンキャンプに約3か月近く参加して、子どもたちと一緒に生活をしながら日本語や日本文化を教えていました。その中で、日本文化を紹介する機会がたくさんあったんですが、「日本人はこうです」「日本の文化はこうです」と説明しているうちに、自分が日本文化をひとつの固定したものとして語ってしまっていないだろうか、と感じるようになったんです。久保田先生の研究は、「日本人」や「日本文化」を一括りにして考えるのではなく、その中にある多様性に目を向けることの大切さを教えてくれました。そして、私自身も当たり前だと思っていた考え方を問い直すようになったんです。それ以来、言語や教育についても、「本当にそうなのだろうか」「別の見方はできないだろうか」と考える姿勢を大切にしながら研究を続けています。それが現在の自分自身の研究につながっていると思います。

ろっくん:
 ハワイの大学に行っていたのに、なぜ茨城大学に来たのですか?

瀬尾先生:
 大学院を修了してすぐは香港で日本語を教えていたんです。6年ぐらいが経ってそろそろ日本に帰ろうかなと思っていたときに、茨城大学の公募が出ているのを見かけました。香港では、日本語非母語話者を対象に日本語や日本語教育について教えることがメインだったんですが、茨城大学だと、留学生に日本語を教えるほかにも、日本人学生を海外に派遣したり、日本人と留学生が一緒に学ぶ国際共修の科目、日本語教員を養成する科目などなど、いろいろなことに挑戦できそうだったので、これだ! と思って応募しました。

はーちゃ
 色々な経験をされたんですね。
 地域未来共創学環ではどのようなことを教えているのですか?

瀬尾先生:
 学環では、3年生必修の「英語コミュニケーション」と「英語プレゼンテーション」、選択科目の「多文化共生論」を教えています。実は、大学と大学院では英語教育の勉強をしてはいたんですが、卒業してからはずっと日本語教育に関わっていたので、学環に来ることになった時に、「英語を教えてください」と言われて、「えっ!? 僕が英語を教えるんですか?!」ってなりましたね(笑)
 大学院を修了してから20年近くが経って、その間に言語教育を取り巻く環境は大きく変わりました。特に最近は、生成AIの発達によって翻訳や文章作成が簡単にできるようになっています。そうすると、「これからの時代、そもそもなぜ英語を学ぶのか」という問いが出てきます。英単語や文法の知識だけなら、AIのほうが正確で速い場面も増えています。
 だからこそ私は、英語を単なる知識として教えるのではなく、英語を使って人とつながる経験を大切にしています。だから、授業では、海外の学生や茨城大学の元留学生と交流する活動を取り入れています。交流したり、一緒に課題に取り組んだりするなかで、自分とは異なる価値観や考え方に出会うことができます。そうした経験は、AIだけでは得られない学びだと思っています。そのため、私の授業では英語の正確さだけを評価するのではなく、「相手を理解しようとすること」や「自分の考えを伝えようとすること」を重視しています。英語が得意な学生はもちろん、苦手な学生でも安心して参加できる授業づくりを心がけています。

のんた
 それは英語が苦手でも安心ですね!

ろっくん:
 先生といえばベトナム研修もやっていると思うのですが、どういうことをやるんですか?

瀬尾先生:
 実は、この研修は私が最初から企画したものではなくて、学環1期生から「私たちも海外留学できますか?」という声が上がったことがきっかけなんです。そこで学生たちと一緒に、「どこの国に行きたいか」「どのくらいの期間なら参加しやすいか」「どんな学びをしたいか」などを話し合いながら、学環らしい海外研修を作っていきました。その結果、生まれたのがベトナムでの研修です。
 今年の3月に初めて学生を派遣したんですが、ベトナム中部のダナン外国語大学と連携して、35日間の研修を実施しました。学生たちはベトナム語や文化について学ぶだけでなく、現地企業でのインターンシップや大学生との協働プロジェクトにも取り組みました。語学にとどまらず、地域や社会について現地の人たちと一緒に考えることを大切にしたプログラムになっています。英語が苦手な学生でも大丈夫なので、ぜひ多くの学環生に参加してほしいです!

ろっくん:
 記事には書ききれないほどのたくさんのお話をしていただいて、楽しい時間になりました!最後に受験生に向けてメッセージをお願いします。

瀬尾先生:
 学環では地域の課題について学びますが、地域のことだけを見ていればよいわけではありません。今は私たちの身近な地域にも、さまざまな国や文化的背景をもつ人たちが暮らしています。だからこそ、地域について学ぶためにも、世界を見る視点が大切だと思っています。私が担当する「多文化共生論」では、地域の日本語教室や多文化共生活動などを通して、そうした人たちと実際に関わりながら学ぶ機会があります。また、海外研修や海外の大学とのオンライン交流など、世界とつながる学びの機会もあります。私の授業の特徴は、「地域」と「世界」を行き来しながら学べることだと思っています。地域の日本語教室で外国人住民の方と交流したり、海外の学生とオンラインで協働したりしながら、多様な人たちと出会う機会があります。そうした経験を通して、自分の当たり前を問い直し、新しい視点を得てほしいと思っています。地域のことも世界のことも学びたい人は、ぜひ学環に来てください。

ろっくんはーちゃのんた
 本日はありがとうございました!