2026.09.07 学環学生が行く!地域未来共創学環『授業紹介』インタビュー 【第3回 「ランドスケープ整備論」「ランドスケープデザイン」(高瀬 唯 先生)】
学環学生が行く!授業紹介インタビュー第3弾です!
今回は「ランドスケープ整備論」「ランドスケープデザイン」の授業です🌿
学生広報アンバサダーの ちーちゃん と むーさん が、高瀬唯先生にインタビューを行いました!
ちーちゃん:
本日はインタビューよろしくお願いします!初めに、そもそも「ランドスケープ」という言葉を先生とお会いしてから初めて聞きまして…。ランドスケープという言葉について教えてください。
高瀬先生:
ランドスケープという言葉がそもそも広い言葉で、色々な学問に関わるんです。幅広い中でも私の専門である造園学や都市計画に関する部分について少しお話ししましょう。この内容は「ランドスケープ整備論」の授業の冒頭でもありますよ。
むーさん:
ランドスケープの授業の入門編みたいでいいですね…!
高瀬先生:
専門用語としてのランドスケープは大きく2つの捉え方に分かれます。風景や眺めを表す、Visual landscape(ビジュアルランドスケープ)と、土地の広がり、土地同士の関係を表すEcological landscape(エコロジカルランドスケープ)です。“眺め”の方は皆さん想像がつきやすいかなと思いますが、実は意味は1つだけじゃないんですよ。

ちーちゃん:
またまた初めて聞く言葉です…!詳しく教えていただけますか?
高瀬先生:
エコロジカルランドスケープですね、これには3つの要素があります。1つ目は山、川、田んぼ、林などいくつかの自然の要素をひとまとまりで考えること。2つ目は、自然環境を土台として、人の暮らしや文化が形づくられること。3つ目は、「ここが自分たちの地域だ」という共通の意識があること。これは、物理的な境界線がなくても、頭の中には「自分たちの地域」というまとまりがあるということです。ただ単に“眺め”だけじゃなくて、都市の広がりやそれぞれの関係、利用方法を見るのもランドスケープなんですよ。
むーさん:
確かに、文化が繋がっている、共通した意識が生まれるという視点もありますね…!身近で分かりやすいと思いました!ランドスケープに関連して、先生が考える「良い景観」とは何だと思いますか?
高瀬先生:
私は、人々の暮らしがあって、そこで営まれてきたものが形になったものが良い景観だと思っています。使う人やそこに暮らす人にとって良いものが一番だと思いますよ。
むーさん:
以前受けた「ランドスケープ整備論」の授業で、海岸沿いに「大きな壁」がある地域が紹介されたと思うのですが、あれも人々の暮らしがベースとなった1つの例でしょうか…?合成かと思うくらい大きくて驚いた記憶があります。
高瀬先生:
これは何でしょう?というクイズを授業で出しましたね。これが何か…という答えは授業を受けてからのお楽しみにしましょうか!その「壁」自体は、人々の暮らしが形になった景観とは少し異なりますが、地域の暮らしと深く関わるものです。この「壁」が造られたことで、地域から海が見えにくくなるなど、地域と海との視覚的・空間的なつながりにも変化が生じました。
ちーちゃん:
では、この「壁」は作らない方が良かったのではないでしょうか…?
高瀬先生:
この話だけを聞くとそう思うかもしれませんが、間違いとは言い切れません。クイズのヒントにもなりますが、この壁は、東日本大震災後に「命を守るために造られたもの」なんです。一方で、海とともに培われてきた暮らしや文化との関係にも影響を与えました。ランドスケープを考える時には、どちらがよいかを0か100かで決めるのではなく、地元の人たちが答えを見つけてバランスを取っていくのが大切になると思っています。

ちーちゃん:
そこに暮らす人たちがどう感じるかがやはり大切ですね…!次に、授業の内容についても詳しく教えていただきたいです!
高瀬先生:
まず2年生が受けるのが「ランドスケープ整備論」です。ランドスケープに関する基礎的な知識や、実際に整備するにはどうしたらよいかということを、過去から学びます。ですが、ランドスケープは公共性の高い空間を扱うため、実際に社会の中で整備を進める際には、法律や人々の生活も関わってきます。そのあたりも学んだ上で、都市や自然ではどんな課題があるのかなと考察する構成になっています。
もう1つが「ランドスケープデザイン」です。デザインを進めるための調査・分析、課題の抽出・整理、コンセプトづくり、ゾーニングまでを実践します。緑の力を生かして屋外空間にある課題をどう解決するか、どうデザインや空間を変えるかを提案するという授業になっています。今はその対象を水戸キャンパスにしているので、普段使っている場所をよく観察して、ランドスケープを考えるいい機会になると思いますよ。
むーさん:
先生がこれらの授業を開講するにあたって考えたポイントはありますか?
高瀬先生:
「ランドスケープ整備論」は、とにかく地域づくりやまちづくりに携わりたい人にはぜひ知っておいてほしいことを入れています。「ランドスケープデザイン」は、「ランドスケープ整備論」で学んだ理論を実践する場があるのが大事だと思い、学環生向けの授業として新しく開講しました。学環が掲げる「理論と実践の往還」をランドスケープの分野でできるようにしています。あとは将来、まちづくり系の企業を目指す時に、大学でこんな作品を作りましたという経験があれば印象が違うかなと思って…キャリア面も意識しています。
ちーちゃん:
そんなところまで考えてくださっているんですね…! 先生から見たランドスケープの授業を受ける魅力は何ですか?
高瀬先生:
大きく2つあって、1つは学際的に物事を見られるようになります。文化を守るためなら、安全性が損なわれてもよいというわけではありませんよね?文化や安全性など、複数の観点から町や土地について考察できるようになるのは、ランドスケープの1つの魅力だと思います。もう1つは歴史的な部分まで見られることです。ランドスケープをデザインするうえで大事なのが、どうしてそこにその景観が成り立ったのか、その場所に重なってきた時間を地層のように読み解いて考えることです。そういったところまで見られるのが面白みなのかなと思います。
むーさん:
色々な分野をもとに見ていくのが楽しいですよね!私も知識をつけたいと思うのですが、初心者におすすめの本はありますか?
高瀬先生:
緑とふれあうという意味では、「ランドスケープ整備論」の授業で教科書にしている「葉で見わける樹木」はおすすめです。植物を調べる時に使うものとして、写真から植物名を判定するアプリは、正確性が十分でない場合がありますし、専門的な図鑑は初心者には調べるのが難しいこともあります。ですがこの本は、葉っぱを見るだけである程度のあたりをつけることができます。「木」と一言に言っても色々あると気づいて解像度が上がるので、町を歩いていても楽しいと思います。

むーさん:
植物の名前を知っていると、見たことがあるものを見つけたときに知り合いを見かけた気分になって楽しいですよね!この記事は高校生も見ると思います。高校生のうちから勉強しておいた方がいいことはありますか?
高瀬先生:
勉強というよりは、日々の暮らしの中で「なんでこの地域はこうなんだろう」という疑問をたくさん持つことをぜひやってみてほしいです。私も町を見る時は、この木はなんの木なんだろうと植物を見てみたり、なぜそこにそれがあるんだろうと考えたりします。他にも古い地図や写真と比べながら見て、どうやって今の景観になったのかなと考えることもあります。疑問を持って地域を見ると、今までとは見えてくるものが変わるはずです。関心を持ったことには探究心が生まれ、自分で調べたり勉強したりするようになります。普段の高校の授業で学ぶことが、地域を見るうえで必要なのだと気づくこともあると思います。
ちーちゃん:
意識をすると何に自分が興味があるのか、何に心が躍るのかなどがわかると思うので、意識をすることって大事ですよね。当たり前の日常では気づかないものがあると思うので、やってみたいと思います!本日はありがとうございました!

「ランドスケープ整備論」の授業では、教科書「葉で見わける樹木」を使って、葉から樹木の種類を調べました!葉の特徴がそれぞれ違っていて、それが分かるくらいこんなにじっくり観察することはないので面白かったです!!町中でもついつい葉を見てしまうようになりましたよ…。

次回もお楽しみに!!
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